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桃の四季

果肉が緻密で、あっさり、けれどもジュージーでたしかな甘み。果物の芸術品にもたとえられる白桃。それは丹念できめの細かい世話の賜です。

 美味しい果物を少しでも多くの人に味わってもらうため、私たちはさまざまな工夫をしています。

 果物は木に実がなっていない時の手間ひまによって味が異なります。そのため毎日木の様子をみて、木との対話が欠かせません。例えば桃の木との対話。

 岡山市の郊外、一宮地区の小高い山の緩やかな斜面に沿うように桃の木が植えられています。

​ 12月上旬、桃の木の世話はこの頃、桃の木の周りに消石灰と堆肥を入れるところから始まります。これから春までの間、木をこまめに見て回り、整枝せん定をおこないます。枝の数や混み具合を調節するために不要な枝を切り落とすものです。ただ枝を減らせばいいというものではなくて、「要らない枝」と「伸ばしたい枝」を選別しつつ切り落とさなくては

なりません。

 2月上旬、摘蕾をおこない、花のつぼみをまびきます。つぼみの数を減らすことによって、木そのものが実をつけようとする、木のチカラを残ったつぼみに集めるためです。

 3月上旬、芽がふくらんでくる前に防虫します。そして下旬を迎え、桃の花が咲き始める頃、摘花をおこない、花のまびきを始めます。

 4月上旬、あたり一面に桃の花が咲き誇ります。

 5月下旬〜6月上旬にかけて袋を掛け、袋の中で熟成させます。果実に袋を掛ける技術は明治十五年に考案されたもの。病害虫を防ぎ、桃の表皮が赤くならないようにするためです。桃は熟すと甘くなります。甘いものは虫が放っておいてくれません。また、桃の表皮は日に当たると赤くなります。白桃が赤くなると具合が悪いという理由もありますが、赤くなると微妙な熟し頃の見極めが難しくなるのです。

 そして6月後半、ようやく待ちわびた白桃の収穫がはじまります。

 桃の木にオレンジ色の紙袋がたくさんぶらさがっています。この袋をはずすと白桃が現れます。

 朝から丘陵地に植えた桃の木を一本一本丁寧に見て回り、実太りのよいものだけを選別。実を痛めないようにスポンジを巻いたかごの中に収穫していきます。

 当地で主に栽培されているのは、収穫が早い順に、白鳳、紅清水、清水白桃、白桃、白麗など。

 7月上旬〜8月上旬には旬を迎えます。

 晴富が自信を持って紹介するこれらの白桃は、こうして1年もの間、大切にたいせつに育てられたものばかり。

​ そのみずみずしい味覚を、ぜひともお楽しみください。

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